ただいま、野菜や果物を中心に、植物に関するさまざまなトピックスを軽重織り交ぜて綴ったような本を、共著で制作しております。以前関わらせてもらいました、イラストと大量の写真の提供が主だった図鑑とは違い、今度は本文の一部も執筆しますし、そのほかの部分にもかなり関わる形となりました。
植物に詳しい方が興味をもって読んでくださるだけではなく、ふだん植物に興味のない方にも気楽に楽しんでいただける本にすべく、あれこれ悩みながら製作を進めているところです。(詳しいことが決まりましたら、またお知らせいたします)
さて、その本の中で紹介するために、大賀ハスの写真が必要になりました。
「大賀ハス」と聞いただけでピンときた方は、植物か考古学に詳しいか、あるいは千葉市にゆかりのある方かもしれません。
大賀ハスは、大賀一郎博士らによって約2000年前の地層から発掘されたハスの種が発芽、開花したことで現代に復活し、大きな話題になった蓮なのです。
その地層は地下6メートルほどと深く、しかも掘るそばから水が染み出てくる泥炭層で発掘は難航したそうですが、そんな中から発掘を手伝っていたひとりの中学生が初めのひと粒の種を見つけたのだとか。
最終的に発掘された3粒のうち、開花まで生長できたのはひと粒の種のみ。でもその一株のハスから蓮根を掘り出して株分けを繰り返し、今では日本だけでなく世界各地で育てられているそうです。
ちなみに、地元の千葉では「検見川の大賀蓮」として県の天然記念物に、そして千葉市の花にも指定されています。
そんなロマンあふれる大賀ハス。いざ写真を撮りに行こうと情報を集めてみると、なんと千葉市のホームページに全国で大賀ハスが見られる場所を一覧にしているではありませんか!千葉公園が有名ですが、成田市の坂田が池総合公園の方が近いので、まずはそちらに行ってみることにしました。
この公園には10数年ほど前に行ったことがあり、広い池にハスがたくさん咲いていた記憶があります。そのときは咲いているハスの品種を調べようとも思わなかったのですが、まさか大賀ハスだったなんて!
それにたしか少しですが、オニバスもあったような……?
天気の良い休日の朝、窓を開けて気分よく車を走らせます。「房総のむら」の奥へと進むと、両側が緑でいっぱい。夏草に交じってタチアオイの赤い花が咲き、所狭しと茂った竹藪にはマダケの竹の子が2mほども、スイッと伸びています。なんだか、大人に囲まれて居心地わるそうにしている伸び盛りの少年のようにも見えて、ふっと笑ってしまいました。
駐車場に車を停めて、さっそく池へ。……あらら?こんなに水面が見えていたっけ?どうにも悪い予感がします。
池のほとりにある小さな東屋のそばにひと区画だけハスが植えられていますが、まさかこれだけなんてことはない、よね??
せまいスペースですし、花も咲いておらず、まだ硬そうなつぼみが2つあるだけ。
地図を見ると水生植物を集めたエリアがあるようだったので向かってみますが、あるのはハンゲショウやアヤメらしき植物くらいで、ハスはありません。もちろんオニバスも。
猛暑の年に枯れてしまったのか、外来種のザリガニなどに負けてしまったのか、公園の管理の一環として(?)抜かれてしまったのか。理由は分かりませんが、どうやらあの東屋近くのわずかなスペースにしかハスはないようでした。
ちょっとがっかりしましたが、5ヘクタールもある池と周囲の里山とが含まれた公園は緑が多くて気持ちがいいし、せっかくなので自然観察しながら一周することに。
朝なので、まだオオマツヨイグサ(月見草)の花が開いていて、ほんのりいい香りがしましたし、トラノオ(虎の尾)も繊細な花が綺麗でした。池のどこか、2か所ほどからウシガエルの声が聞こえてきます。(すごく久々に聞きました)
里山のふもとににじみ出る水でドロドロの水たまりを避けつつ登っていくと、両側がうっそうとした広葉樹林や竹藪になった細い道が通っていました。ところどころにある不自然な盛り土は、小さな古墳です。なんとこのあたりには115基もの古墳があるのだそう!
それにしてもこんなに緑に囲まれたのは久しぶりかもしれません。腐葉土のにおい、しっとりした空気、水路を流れる水の音。ちょっと湿度が高いのはきついですが、マイナスイオンもたっぷり浴びて、リラックスした気がします。
ハスが撮れなかったことは残念ですが、それはそれ。
池に写る枝の影に惹かれて写真を撮ったり(いつか日本画にするかも)、途中でちゃっかり山椒の実を採取したり(ちりめん山椒用にほんの少し)、一度公園から出て近くの直売所で野菜を買ったり(ついでに後継者不足の愚痴を聞かされてしまったり)して、気が付けばすっかり散歩を満喫。
ベンチに座って池を眺めつつ、冷たい紅茶を飲んでひと息。ふと、今とても「私らしく」時を過ごしているなぁ、と気づいて、可笑しくなりました。うん、わるくない休日といえましょう。
それから、買った野菜たくさんと拾った竹の皮(これでちまきを包んでみたい!)を抱えて帰途につきました。




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凹太 (火曜日, 07 1月 2025 02:12)
坂田が池、こんなになっていたんだ。ハスはどこへ行ったのだろう。理由に興味あり。調べたい気がしてきた。共著者から「写真頼む。」と言われ、用が足せなかったのは残念でしたが、転んでもただで起きなず、楽しんできたのが素晴らしい。共著者の外国語を訳したような原稿を直すのは大変だと思います。ご苦労様です。
Nana (火曜日, 22 7月 2025 23:01)
凹太さん、コメントありがとうございます。
ハスがどこへ消えたのか、気になるところですよね。管理事務所で訊いてみればよかったかもしれません。
共著者の原稿は、ときに日本語から「こなれた日本語」への翻訳となりますが、それもまた楽しいですよ!